『Fairy tales from hells caves』

 

オススメ度:85

 

イタリアのMandragora Screamの1st。

 

女性ヴォーカルMorganのハスキーな声と、

効果音を多用するバッキングが織り成す

ダークでシアトリカルなフィメールゴシック。

 

テクニカルではないが雰囲気作りに徹し

安定感のある演奏陣と、

ホラー映画のサントラを想起させる

ドラマティックで一般性の高いメロディーラインは

ゴシックメタルにあまり親しみの無い人にも

十分アピールできると思われるクオリティ。

 

ただ、解りやすいサビを持った楽曲が多いという

その特徴が、武器であると同時に

このバンドの短所にもなっており、

メロディーがなんでもないばかりに

ヴォーカルの欠点である音域の狭さが

目立ってしまう場面があるのが少し気になった。

 

音域の狭いヴォーカルは

総じて単調さを打開できずに行き詰まりがちである。

よほど芸達者であれば別なのだが。

 

もっとも、そういった欠点は少なくとも本作では

時として朗々と、時として激しく歌い上げる

アグレッションに満ちたヴォーカリゼーションで

かなり補われてはいる。

4曲目「Brain storm」のようにデジタル音を

被せて印象を変えたりと、工夫もされている。

 

総じて言えばこの手のフィメールゴシックにありがちな

自己満足的な難解さが少なく、

しかも安易なポップ方面に

逃げない姿勢は評価できるので、

次作では是非Voの特長をさらに生かした楽曲の作り込み

(デジタルエフェクトだけではすぐネタ切れになりそうだし、

第一ライヴで再現するのが難しそうである)と、

Voの表現力の向上を期待したい。

 

あと一歩で、音源のリリースが

楽しみなバンドに化けるかも知れないのだ。