NOCHE

 

石原茂樹(ピアノ)、斉木洋平(クラリネット)、

諏佐響太郎(ギター)、高橋慧(ベース)からなる

アコースティックフュージョン『NOCHE』

 

民族音楽、特にケルト的な"放浪の哀愁"が刺激的な

アクセントとなって、温かみのある独特の異郷感を醸し出す。

曲によっては和のエッセンスがスパイス程度の慎重さで取り入れられ、

ケルトのメロディーが持つ"寄る辺無い感覚"と

絶妙に融合しているのも見逃せない。

 

音を綴れ織りのように折り重ねるよりも

各曲の中でパートごとの主題とそれを奏でる楽器をはっきりと浮き出させ、

他のパートがそれをサポートする事によって

繊細なメロディーと安定感のあるアレンジセンスを十全に生かしている。

過度の緊張感を聴き手に強いないのは、このバンドの持つ柔らかさ、

過剰なメランコリーに陥りきらない中庸の姿勢が伺えて好ましい。

 

「Gallery」コーナーから聴けるのは(ramファイル)今の所7曲。

現在は編曲も変わっているようで、リアルタイムの記録とは言えないのが

少々残念だが、基本的な音楽傾向には今の所変化はないらしいので

彼らのスタンス、スタイルを知るための参考として充分に価値がある。

 

クラシカルで端正な哀愁漂う「火曜日のオリオン座」、

唱歌「さくら」のドラマティックでメロディアスなアレンジ「櫻さくらむ」、

暖かな空の下、風に吹かれながらの旅立ち「estrella」、

鈍く光る夕暮れの太陽を想起させる「射千玉の夢」。

 

煌くようなスリルで強引に聴き手を引きずり込むタイプの音ではないが、

浸透的・催眠的に「いつか見た風景」に誘う母性溢れる音世界。