『空喰らフ吐陰』

 

オススメ度:83

 

『雀羅』が2000年に発表した1stミニアルバム。

明透遊(Vo)、神結(G)、深琴(G)、勇(B)、聖華(Dr)による

ツインギター5人編成である。

 

いわゆる”ビジュアル系”という呼称は

なんらかの明確な音楽的なスタイルを指した物では無いと言う事実は

多少足を踏み入れた人ならばすぐに理解していただけると思うし

それは確かに正しいのだが、ある程度の期間このシーンを追っていると

愛好者個人個人の認識の中で自分なりの「ビジュアル系」に対する定義が

固まってくる場合が多い。

 

手っ取り早く言ってしまうと自分にとってのそれは

「ダークな音像」

「エキセントリックな(時として神経症じみた)歌詞世界」

「浮世離れしたメイク・ファッション」

…の3つであり、新興レーベル、マーダースーツケースが

停滞感が漂うシーンに送り込んだこのバンドは

まさにそういった特徴を充分に満たす管理人好みのバンドであった。

 

演奏・楽曲のスタイルに先行諸バンドの影響が露骨なのは

少し残念な気もするが、1stの時点でそれを厳しく言うよりも

解りやすい扇情的なメロディーラインという長所を評価したい。

 

ダークでせつないメロディーのオープニング「黒猫」から

Voの高音部を上手く生かし、言葉遊びも織り込んだ「空想歌」、その他

疾走系を手堅く纏めた「沙羅ト可憐」まで20分強のミニアルバムながら

自分達の音世界、やりたい事を伝えようとする意志が感じられる。

 

演奏的にはリズム隊の技量等未だ未熟な点も目立つし、

Voの歌唱法、歌唱力に関しては楽曲に味を出しているか、

楽曲を殺しているか…の判断が人によって大きく別れるところであろう。

 

順調なペースでマテリアルを発表しているらしいので

フルレンスアルバムを気長に待とうと思う。