L‘Arc‐en‐Ciel

 

『虹が消えた日』

 

門を開くと、そこは草原。

小高い丘の上で少年が空を見上げています。

 

一日に一度、この丘を訪れて空を見上げるのが、

この少年の日課なのです。

 

丘を登るたびに、少年の心には鮮烈な光景が甦ってきます。

幼い頃に見た、巨大な虹の記憶。

 

雨上がりの草の匂い・・。

透明に近いほど透き通った青空・・。

優しく体をつつむ日差し・・。

彼を幻惑の彼方へ連れ去った、千変万化する七色。

 

もう一度あの虹が見れたなら。

あの瞬間が戻ってくるのなら。

 

でも、少年は心の底では知っています。

もう二度と、あの時と同じ虹は見られない事を。

あの瞬間が、一生に一度の奇跡であった事を。

 

それでも少年は、毎日丘に登ります。

ありえない二度目の奇跡を求めて。

そして今日もまたあの青い空を、

目を細めながら見上げてしまうのです。