『ROUAGE』

 

オススメ度:81

 

1993年に結成された『ROUAGE』が1994年にインディーズで発表した1st。

メンバーはKAZUSHI(Vo)、RIKA(G)、RAYZI(G)、

KAIKI(B)、SHONO(Dr)。

 

『Merry Go Round』、『黒夢』、『Sleep My Dear』、『Laputa』

『Silver Rose』等

現在も根強いファンを持つハード&ダーク系のヴィジュアルバンドを

数多く輩出した80年代後期〜90年代の名古屋ヴィジュアルシーン。

大雑把な言い方になるが、Gの激しい音色や

シャウト型のVoスタイルに代表されるHR系の音が主導した

東京や大阪のシーンに対して

それほどGの音を前に出さず、ポジパン・耽美系の

デフォルメされたVoスタイルが強調された、暗く妖しい音像を

武器とするバンド群=名古屋ヴィジュアル、という印象がある。

何も名古屋のシーンばかりがダーク&ハードを

一手に受け持っていた訳ではないのは勿論だが、

名古屋シーンで一大潮流となっていた「ダーク&ハード」な要素が

勃興期のヴィジュアルシーンを底支えしていたという側面は

無視すべきではないと思う。

 

SE「シ・ク・マ・レ・タ・ト・キ」にKAZUSHIの呟きが入り、

そこから一気に叩きつけるような「Function」へ。

例えばDrの音がポコポコ言ってしまう辺り等は

この当時の彼らの実力と環境から言って止むを得ない所だが

序盤で一気に聴き手を引き込もうとする姿勢が

伝わって来るのは嬉しい。

KAZUSHIのシリアスなVoもその雰囲気作りに

一味買っている事は言うまでも無く、

これでこそメイクする意味もあるという物であろう。

 

疾走感のある「めざめのうたげ」から

緩やかで優しいメロディーが印象的な「Cry for the moon」へ。

閉塞感を強調したダーク系特有の歌詞であるにも関わらず

全体的に柔らかく、優しい印象を受けるのは、

歌い上げるタイプで深みと開放感に伸びしろを感じさせる

KAZUSHIのVoの力が大きいだろう。

 

力量的には未熟ながらも後に『ROUAGE』の強力な武器になる

空間的な広がりを感じさせるサウンドの一端が味わえる

バラードナンバーの「Mist of Tears」、

サウンドとしては攻撃的だが、サビのコーラスが

ライブ向きのキャッチーさも持っている疾走ナンバー

「hide and seek」、BのKAIKI作だけあって

強調されたBが耳に残る「ark」、

ダーク系らしい狂気の表現に挑んだ「Pa・ra・no・i・a」、

メリハリのはっきりしたリズムとサビ前の展開が印象的な

「More Trance」とスピーディーにアルバムは進行する。

テンポの良い曲が並べられた割に

単調さをあまり感じさせないのは

曲の配置、リズムによる緩急の付け方に

配慮が施されているからではなかろうか。

 

最終曲「Creation −審判−」は描写的な曲展開が光るが

ラストの呟き部分はさすがに時代を感じさせる。

今のヴィジュアルファンが聴いたら笑ってしまうかもしれないが

(というかアルバムが出た当時も笑っている人はいた)

やはりメイクして音を出すからにはこのくらい頑張って欲しい、とも思う。

 

バンドサウンドに関して見ればやはり全体的に未成熟で

それほどタイトな演奏とは言えず、

前面に立つKAZUSHIのVoの弱さも目立つ。

が、にも関わらず曲作りや表現力には十分に

期待を感じさせる物があったし、また彼ら自身も

インディーからメジャーへと舞台を進める中でよく力量を磨き、

ヴィジュアルブームの熱狂の中、

ファンの期待に応えるべく奮闘を続けていく事になるのである。

 

 

 

/1999.9サイト開設時のレビュー/

 

インディ時代唯一のアルバム。だと思う。

現時点では唯一のB在籍中に作成されたアルバム・・か?

 

この当時の名古屋のダーク系のバンドというのは

多かれ少なかれそうだと思うのだが、

このアルバムも楽曲に「黒夢」の影響が垣間見える。

そのため、楽曲の性質とKAZUSHIの声質が

反発しあい、楽曲の良さを殺している面がないだろうか?

「Cry for the moon」等

良い曲も入っているのに何故かいまひとつ

好きになれないアルバムである。

 

(付記:2001.5.1)

・・・と、いうレビューを懐かしく見ながら聞いてみると、実は結構良かったりした。

最近のバンドにはあざとさはあってもこういう勢いと世界観は出せまい。

 

(付記:2005.7.6)

ダークなのを『黒夢』の影響と一言で言いきるのは

いささか無理があるし、楽曲の良さを殺しているのは

Voと楽曲の相性も確かにあるにせよ、それ以上に

バンドの力量不足という要素の方が大きいと思う。

それほど広くないシーンの中で、特に目立っていた『黒夢』に

全く影響されなかった…と言えばそれは嘘になるだろうが。

また、勢いを楽しむだけでなく

後の進化の過程の一つとしてじっくり聴き込んでみると

いろいろと発見する事が多くて面白いアルバムでもあるのだ。