『New vogue children』

 

オススメ度:89

 

2001年に結成され、2枚のシングルを発表していた

Kaya(Vo)とHora(Key&Prog&Vo)によるユニット

『Rudolf Steiner』が、『Schwarz Stein』に改名して

2002年に発表した10曲収録の1stフルアルバム。

 

ダンサブルでハイテンポだが前に出過ぎないデジタルビートに

Kayaのミドルレンジに強い流麗なヴォーカルが乗り、

SMの匂いも感じさせる頽廃的な歌詞と相まって

スリリングで耳触りの良いスピード感に溢れたサウンドを聴かせる。

 

プロデューサーは元『Malice Mizer』のmana。

『Malice Mizer』、そして現バンドである『Moi Dix Mois』でも見られる

ゴス(ゴシックロック)としてはいくらか明晰過ぎるが、HR的な

音像を求めると軽さを感じる、という微妙な境界線上に立つ

サウンドメイク(その”グレーゾーンに立つ中途半端さ”こそが

管理人を強く惹きつけてやまないのだが)は、

本作のように無国籍なデジタルサウンドと非常に相性が良く、

”端正なエレガンス”と、主にノーブルな無関心に由来する

”無機質によるデカダンス”を兼ね備えた

人工耽美世界を築く事に成功している。

 

個々の楽曲について見ていけば

『TMN/Get Wild』を思わせる3曲目「Rise to Heaven」から

クラシカルフレーズが効果的に挿入される「Queen of Decadence」、

バラード調だが大抵のミュージシャンの初期作品にありがちな

冗長さを感じさせない「transient」への流れは

新人らしからぬ貫禄で聴かせる。

そこからエフェクターを利かせたHoraのメインヴォーカルが暴れまわる

「BIO GENESIS」等ダークな曲調が目立つ後半部に入り

メロディアスかつ開放的なサビが印象的な

「New vogue children」へとよどみなく展開する楽曲群は

今後の活動への高い期待を抱かせるに足る。

 

2004年発売予定の2ndアルバムでは

最低限本作レベルの高い完成度を維持した上で

本作以上の楽曲の独自性と、『Schwarz Stein』ならでは、と

言えるだけの一層の迫力ある音世界の完成を望みたい。